星海瑠衣子の部活日誌(仮)

Vtuber的な、バーチャルゆるふわ青春ガール星海瑠衣子の活動日誌。

動き出した青春乙女

 夏休みが始まる。そんな四連休なのに、まだ梅雨は明けきらない。終業式へ向かう通学路の稲は休みを挟むたびにどんどん伸びていく。


 私はそんな日常の中、非日常を始めた。先輩が卒業して部員不在になった文芸部に入部した。部員は私一人、自動的に部長になったわけだが特に活動せず。休学も重なり、実質一年活動休止状態。そもそも私は様々なものに憧れはする。憧れはするもののだ。実際何もしない。学校見学の際に先輩に何となく話した程度の記憶しかなくてそれがどこか脳裏にひっかかっていて。とりあえず入部。その程度である。ただ、昔読んだライトノベル文学少女がいて、三題噺を書いたりしている程度の認識しかなかった。

 

 このまま代わり映えのない日常を送るのかと思っていた時、私はバーチャルユーチューバーなるものに出会った。私の知っていたキラキラしたもの例えばバンドとか、ごはんとか、魔法の世界だとか。その中にひとつ加わったのだ。記憶の先輩の姿もそのキラキラしたコレクションに居て。

 

  私もキラキラしたかったのだ。

 

 でも、楽器もさっぱり。一年休学。今更何もできないって。私も憧れた何かになりたかった。顧問の先生が言っていた。
「ちゃんと後悔しないようにやりたいことやらないと。私みたいになっちゃう。同い年のかっこいいバンドマンとかみるとね……。私は何も持ってないってなるから」

 

 いつも寂しげな彼女がいつも以上に顔を曇らせた瞬間。私の胸も痛んだ。こうなりたいのか? なりたくない。じゃあ私のなりたい物って? それもわからない。一度覚えた悪いネガティブ思考はループしやすい。私の時を止めてしまう。

 

 だから私は決めたのだ、無理矢理にでも進もうって。青春を精一杯やれば、もしかしたら何か見えるかも。

 

 そうして私はVTuberになった。なったものの、半年ほぼ何もしていなかった。初めて配信をしたのも終業式の日。それでも、乙女の時間はようやく動き出した。ほぼ何も決まってないけれど、小さくても一歩は一歩だ。

 

 四連休も結局のところ、ゲーム三昧で。来週も部室へ行こう。どのみち夏期講習があるので登校する。夏休みの部室の空気を味わえば何か見えるかも。

 

 動き出した青春ガール、星海瑠衣子。自分にキャッチフレーズをつけてみたらなんだか、強くなった気分。ふふっと、微笑んでみる。

 

 夏休みは何をして過ごそうか。